LGBTをどこよりも簡単にわかりやすく解説!LGBTQとの違いは?

近頃、LGBTやセクシュアル・マイノリティという言葉を見聞きする機会が増えました。「なんとなくなら意味を知っている」という方は多いですが、正確な説明を求められたら戸惑ってしまう方も少なくないのでは?

ここではLGBTの意味と、セクシュアル・マイノリティの呼ばれる人たちの種類を簡単に解説します。日本が抱えるLGBTへの課題と取り組みもあわせてまとめました。

目次

近頃よく聞く“LGBT”の意味は?

LGBTとは、4つのセクシュアル・マイノリティの頭文字を並べた言葉です。順に以下をさしています。

  • L:レズビアン
  • G:ゲイ
  • B:バイセクシャル
  • T:トランスジェンダー

セクシュアル・マイノリティとは

セクシュアル・マイノリティは、直訳すると性的少数者です。テレビやネットニュースなどでは性的マイノリティと表現されることもあるため、こちらのほうが聞き馴染みがあるかもしれません。

日本人の約10人に1人はセクシュアル・マイノリティといわれています。パーセンテージで表すなら3~10%。1クラス30人の教室があれば、セクシュアル・マイノリティは1~3人いる計算になります。

ちなみに日本にいる左利きの人、AB型の人もほぼ10%。いかがでしょうか。「けっこう身近な存在だな」と感じた方も多いのでは?

性的指向と性自認とは

セクシュアル・マイノリティを知るには、まず性的指向と性自認の意味を把握しましょう。

性的指向は「恋愛感情や性的な関心が向く方向」、性自認は「自分の性別に対する自覚」を意味する言葉です。「自分の性別を男性と自覚していて、男性を好きになる人」がいれば、その人の性的指向は男性、性自認も男性となります。

SOGIとは

性的指向と性自認は、英語で書くとこうなります。

  • 性的指向:Sexual Orientation(セクシュアル オリエンテーション)
  • 性自認:Gender Identity(ジェンダー アイデンティティ)

SOGI(ソジまたはソギ)はこれらの頭文字を並べたもの。セクシュアル・マイノリティとそうでない人を含めた「すべての人」を表す、概念的な言葉です。

性のあり方はさまざまで、人は誰もが多様性の中で生きています。SOGIという言葉には「性を少数・多数で区別する必要はない。誰もがいろいろな性を持っており、それらをひっくるめて“人”なんだ」という意味が込められているのです。

LGBTの種類をわかりやすく解説

続いて、LGBTの各頭文字が示すセクシャリティについて、簡単にまとめました。

L:レズビアン

同性を好きになる女性をさす言葉です。性的指向、性自認ともに女性の方を表します。

G:ゲイ

同性を好きになる男性を表します。性的指向が男性で、性自認も男性という方です。

B:バイセクシュアル

男女の両方に性的指向が向く人を表します。同性も異性も好きになることがある人です。

T:トランスジェンダー

体の性別と、自認している性別が一致しない人です。性同一性障害(※)と混同されることが多いですが、イコールではありません。

性同一性障害は「自認する性別と生物学的性別が一致しない状態」をさす医学的診断名です。性別性同一性障害と診断された方の中には、自身の抱える違和感をなくすために性別適合手術を受け、戸籍上の性別を変更する方もいます。

※ 現在は「性別違和」という診断名に変更されています。

それでは、すべてのトランスジェンダーが同様の選択をするのか――これはNOです。トランスジェンダーのゴールはひとつではなく、ありのままの自分を受け入れる人もたくさんいます。

病院で診断を受けるか受けないか、ホルモン治療や手術をするかしないか、戸籍上の性別を変えるか変えないかは、人それぞれです。

そのため「トランスジェンダーはみんな手術をして、いつか性別を変えるんだな」といった思い込みは、誤っていることを覚えておきましょう。

LGBTQと表す場合のQの意味は?

LGBTにQが足され、LGBTQと表記する場合もあります。

Qは、クエスチョニング・クィアを表す頭文字です。それぞれわかりやすく解説します。

クエスチョニング

自分のセクシャリティがわからない人、なにか迷っている人、特に決めたくないと考えている人をさす言葉です。

クィア

クィアは、すべてのセクシュアリティ・マイノリティを総称する概念的な意味を持っています。LGBTと、これらにあてはまらない性的少数者ひっくるめてクィアと表現します。

もとは「奇妙、風変わり、変態」などの意味を持つ、侮蔑的でネガティブな言葉でした。しかし、昨今はセクシュアル・マイノリティの当事者が、ポジティブなニュアンスで使うことも増えてきています。

LGBTが直面している困難と日本の現状

ひと昔前と比べれば、現代はLGBTに対してオープンになりつつあります。しかし、世間にはLGBTに偏見の目を向ける人がまだまだ多く、LGBT当事者が問題に直面する場面も少なくありません。

続いてはLGBTが抱えやすい悩みと、日本の現状を踏まえた課題について解説します。

周囲からの拒絶や孤立

家庭内や社会において、自分のセクシャリティをカミングアウトしたことで拒絶され、傷つく方は少なくありません。

理解のない人からひどい言葉をぶつけられ、「LGBTだから」という理由でいわれのない差別を受け、周囲から孤立してしまう人もいます。

特に『アウティング』は許されない行為です。これはLGBT当事者以外の人が、本人の許可を得ず、勝手に「この人はセクシュアル・マイノリティだ」と他人に伝えてしまう行為のこと。

アウティングをされた結果、意図せず孤立してしまうLGBTの方も残念ながら少なくないのです。

自己否定

世間がセクシュアル・マイノリティを少数者として取り上げることで、LGBT当事者が「自分は普通ではない」と思い込んでしまうことがあります。

結果、セクシュアル・マイノリティである自分を否定し、過度に責め、心を病んでしまう方は少なくありません。

そもそもセクシュアル・マイノリティは、「性」という枠組みで見たときに少数者であるだけです。

前述したように左利きの人やAB型の人も世間から見れば少数者。いわば、枠組みを変えれば誰でも少数者になりうるのです。

利き手や血液型では少数者を当たり前に受け入れるのに、こと性に関しては世間が敏感に反応する。この現状って、とてもナンセンスですよね。

法的権利を受けられない

日本では同性婚が認められていません。そのため同性のパートナーがいるLGBTは、相手とどれだけ長年連れ添っていたとしても、夫婦としての法的権利を得られないのです。

たとえば以下のような場面で、影響が出るケースがあります。

  • 会社の福利厚生の対象に家族が含まれる場合に、パートナーが家族として認められない。
  • パートナーが病気や事故で意識不明になったとき、家族として認められず、意思決定ができない。
  • パートナーと死別した場合に遺産を受け取れない。葬儀の際に親族席に座れない。

愛し合って一緒にいるにも関わらず、法律婚ができないがゆえに多くの制限を受けてしまうのが日本の現状です。

LGBTが生きやすい社会のあり方

LGBTが問題なく生きられるために、社会はどうあるべきなのでしょうか。日本が行っているLGBTへの取り組みも合わせて紹介します。

生きる上でセクシャリティは関係ない

LGBTが特別視されず、ごく当たり前に受け入れられる社会になれば、誰もが平和に生きられるはずです。

ところで、私たちはセクシュアリティを意識しすぎているのではないでしょうか。セクシャリティは性を表すただの定義であり、その人がどんなセクシュアリティであろうと、生きる上では特に関係ありません。

世間に「いろんな人がいていいよね」という考え方が広まれば、マイノリティに差別的な感情を抱く人も減っていくはずです。

LGBTを正しく知り、理解する

それではなぜ、LGBTは差別的な目を向けられやすいのでしょうか。LGBTを拒絶したり好奇な目で見たりする人の多くは、そもそもセクシュアル・マイノリティについてよく知らないのかもしれません。

「わからないから、受け入れられない」ではなく「わからないから、知ろう」という気持ちを持てる人が増えれば、LGBTに差別的な目を向ける人も少なくなるのではないでしょうか。

正しい知識を広めるためにも、社会はLGBTについて、誰もが理解できるような情報発信をしていくべきです。

日本がLGBTに対して行っている取り組みとは

LGBTが生きやすい社会を目指すために、日本はどんなことを実施しているのでしょうか。ふたつの取り組みを紹介します。

パートナーシップ制度の施行

日本では同性婚は認められていませんが、同性カップルの権利を守るための制度として『パートナーシップ制度』を制定しています。

この制度を活用しても、完全に夫婦と同等の権利を得られるわけではありません。しかし、自治体からパートナー関係を認めてもらえるという点で、心強さを感じる方はきっと多いでしょう。

2023年5月19日現在、全国でパートナーシップ制度を制定済みもしくは制定予定としている自治体数は、278となっています。

パワハラ防止法の策定

2022年4月以降、日本にあるすべての企業で『パワハラ防止法』が適用されることになりました。この法律では以下の行為をパワハラと定めることで、LGBTへの配慮のない言動を禁止しています。

  • アウティング
  • SOGIハラ(他人の性的趣向や性自認に対する侮蔑的な言動)

従業員がこれらの行為に及んだ場合、会社は適切な対処をしなければなりません。このような法律を通じて、人々に「LGBT差別はいけないこと」という認識が広まっていけば、さまざまなセクシュアリティの人が日本でのびのび暮らせるようになるでしょう。

まとめ

人それぞれに個性があるように、セクシュアリティにもたくさんの形があります。ただ「少数派だから」という理由だけで、LGBTが差別される世界は正しいとはいえません。

あなたがLGBTへの差別をよくないと感じるなら、まずは自分がLGBTを正しく理解することから始めてみませんか?

セクシュアル・マイノリティを含むすべての人々が「ありのままの自分」で生きられる世界を目指して、いまできることから始めてみてくださいね。

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